アイソラの革素材
カリオカ
カロンガ
フェスタ
エトルソ
マルチカラー
マットパイソン

【コラム−革が好きだ】

ひょんなきっかけでバッグ業界に入って、才能なんて思いもかけず、ただやってみたいという理由だけで商品企画にくちばしを突っ込んで、気が付いたらサイフの会社のデザイナー・オーナーになっていたという出会い頭人生だから、ぼくは革が好きなんていう殊勝な理由でこの業界に入ってきたわけじゃない。でも長い間バッグやサイフの商品企画に携わってきて、たくさんの人やモノとの出会いがあって、革っていう素材のすばらしさにようやく気が付いた。

ぼくがこの業界に入った1970年ころは、まだ商品企画なんていう概念さえなくて、型は職人の親方が雑誌からコピーしたものだし、革も北米原皮のステア・・去勢牛のことね・・の半裁を、主にクロムなめししたものを使っていた。当時は柔らかい革はクロムなめし、硬い革はシブなめしといった単純な仕分けだったように思う。皮革製品をファッショングッズなんて思っているヤツはほとんどいなかったんだな。

70年代半ばにブランドブームがおきて、欧州のブランドバッグを知るようになった。最初はセリーヌ、グッチ、フェンディのジャカード織りのバッグから始まったので柄にばかり興味が行ったけれど、ルイ・ヴィトンやエルメスなどが出てくると、使われている革に興味が移っていった。LVの付属革の白ヌメや、グッチが使っていた日本製のピッグスキンなんてかっこよかったんですよ。

だんだん革の知識も増えてきた頃、友人から「coachの使っているサルツレザーが入荷したから見においでよ」なんて連絡があった。初めて見たオイルレザーは、厚くて重くて脂っぽくて、でも手触りがなんともいいんだな。これですっかりナチュラル仕上げのオイルレザーにハマってしまった。そしてそれが、ぼくが世界の一流の革に触れるきっかけになった。

サルツレザーや、ドイツ・カール・フロイデンベルグ社の最高級のドイツボックス、クロム革ではこれまた最高のイタリア・フラスキーニ社のソフトカーフやキップ、フランス・コスティル社の白ヌメ。みんなぼくがサイフを作ってきた革だけれど、会社が整理されてしまったりして、もう見ることができなくなってしまった革たちだ。

日本では3mmのゴート紐を織ったオバサンバッグ専用素材だったメッシュを、8mmくらいのラムかシープで平織りにして、エレガントで上質のバッグを作っていたボッテガベネタを見たときには驚いた。「アッ、こんな発想があるんだ。イタリア人ってすごい」。水っぽい感じがしてぼくが大っ嫌いだったパイソンを、「エキゾチックで上品にこなせるんだよ」と教えてくれたのは、カルロス・ファルチだ。ゴブラン地のバッグで付属にブライドルレザーを使っていた英国のJ&Mダビッドソンなんていうバッグを西麻布のショップに探しに行ったこともあったな。

ぼくはたくさんの会社やブランドのOEM生産をさせてもらって、いろいろな種類の革でサイフを作ってきた。だからアイソラ・ブランドを立ち上げたときには、それまで手がけてきた革の中でも、ぼくのお気に入りに革だけを使ってサイフを作ろうと思った。そして10年、アイソラのラインアップを眺めてみると、まだまだ足りないけれど、ずいぶんいい素材とめぐり合ってきたなと思う。そんな素材のいくつかを紹介しようと思います。


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