イタリア展で中国製品を見つけた


  東京のホテル・オークラで開催されたプロモペル展に行ってきました。詳しくは知らないけれど、AINPES(イタリア皮革製品組合)に加盟しているハンドバッグ・メーカーが20社ほど集まって、ホテル・オークラの客室を展示会場にして、日本の専門店やブティック、商社と直接商談をする展示会です。直前にはイタリア貿易振興会からも「来てください」という連絡があったほどだから、公的にも応援されていると思います。ぼくも若いころからたまに顔を出していたので、ずいぶん長い間続いている展示会です。MIPELという年2回ミラノで開催される総合的な皮革製品の展示会に行っていない僕のようなサボリ魔にとっては、まあ見ておいても損のない機会ですけれどね。

   むかしから続けて参加しているメーカーも多くて、GretaだとかGuia'sだとか聞きなじんだ会社名もたくさん見かけられます。イタリアらしい革を使って作ったカジュアルなバッグを出展していたり、最高の仕立てでナッパカーフのやわらかいバッグを作る会社があったり、ここではよく勉強させてもらったものです。

   もともとイタリアでは北部のミラノや中西部のフィレンツェ周辺までが上質の皮革製品の生産地で、南にいくほど質が低下していました。また低価格商品はスペインや北アフリカで作っていると教えてもらったことがあります。そして北部の上質の皮革製品はイタリア独特の家族主義で経営されている家内工業で生産されているということでした。最近などはそんな形態を日本の中小企業に取り入れようと、商工会議所主催の研修ツァーがあるほど見直されています。

   最近それがどう見ても中国製の製品の出展が多いのですよ。ぼくは長い間中国に行っていないから誤解なのかもしれないけれど、ぼくの偏見なのかな。出展しているサイフを見ると、同じようなデザインで同じ製法で作っているものが、あちこちの展示場に置いてあります。もちろん素材は違っていますけれどね。単価もまるで安くって、もちろん北アフリカ製という可能性はあるけれど、ぼくはあれは中国製だと思う。

   ぼくは皮革製品の世界しか知らないけれど、今中国は世界の工場となってしまいました。むかしだったらヨーロッパにはスペインやアフリカがあったし、北アメリカのためには中南米の国々が生産していました。そして日本にはフィリッピン、タイがあったし、そしてそれぞれ特徴があったと思います。それが今では中国一辺倒です。これじゃ世界中おんなじ製品であふれてしまいますよ。そして中国のWTOにともなってこの傾向はもっと拍車がかかるといわれています。たしかにデフレ時代の今、コストを考えたら中国生産に偏ってしまうのはわかるけれど、ちょっと違うよな。

   モノってデザイナーの発想で完結するわけじゃないのですよ。まして皮革製品のように手工業製品の場合には、作り手側の理解力とか技術とかが完成度にとても大きな影響をあたえます。そういったソフトを無視して価格至上主義になって、モノ作りの基本からずれた製品がただ安いという理由だけでもてはやされました。デフレになって、モノが異常に安くて買いやすい値段になったのに全然売れない今の時代って、そんなことも影響しているのじゃないかな。そしてラグジュアリー・ブランドを行列を作って買い漁っているということも、そこに原因があるのかもしれない。たしかに全部とは思わないけれどラグジュアリー・ブランドって生産管理までしっかりしていますからね。

   アイソラはいつまでも中国で作ることはしないだろうな。ぼくがチョイスしてきた素材を、気心の知れた職人さんと話し合いながら作っていく今のアイソラのやり方はとても気に入っているからな。最近中国や韓国の会社から「うちで作らせてください」みたいなメールがとても多くなってきて、こんなことを考え込んでしまいました。ぼくも大好きなイタリアの皮革製品はいつまでもぼくの目標でいて欲しいし、色々なモノがあるからおもしろいのだから。

2002.10.28
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