美味しいって当たり前、カッコいいって当たり前。


ぼくはウィスキーが好きだ。若いころのサントリーレッドから始まって、ホワイト、角、オールドと少しずつグレードアップしてきて、ちょっと贅沢ができるようになったらバーボンになって、バーボンはずいぶん長い間ハマったなあ。その後スコッチのブレンドウィスキーになってから、今はシングルモルトウィスキーを呑むようになっている。

それで最近、気付いたことがある。長い間、モヤモヤとくすぶっていた思いなんだけれど、ようやく言葉で説明できるようになった。それはもうウィスキーを、美味いだけでは探していないんだなということなんです。ブレンドウィスキーのころまではリーズナブルな価格で美味しい酒って探してきたけれど、美味しいってことだけでは決められなくなったんだな。だってある程度の金額を出せば美味いってのは当たり前で、そのうえ単純に美味しい酒を求めるならば、ブレンドウィスキーに勝るものは無いですからね。

それでは何を基準に、お気に入りのウィスキーを探し始めたのか。それはパーソナリティなんです。シングルモルトってのは、それぞれの蒸留所がそれぞれの独自の味を競い合って、出しているんです。それでシングルモルトの世界に入ってしまったんだけれど、ラフロイグ知ったときに、その強烈な個性にやられてしまってしばらく足止めされて、ようやくここ数年でボトラーズとかアイラの他の蒸留所のウィスキーを呑むようになってきた。美味いなってものにも当たるけれど、これはダメだってものも結構あって、この世界もなかなか広いです。

そして同じようなことが、ぼくにのいるサイフの世界にも言えるんじゃないかなって思い付いた。ぼくがサイフの世界に入った30年前には、オバサン臭いサイフばかりでカッコいいと思うサイフなんか全然なかった。だからアイソラで一生懸命考えてデザインして、イタリアのカッコいい素材を探しだしてサイフにしたらけっこう目立って、皆さんにも認めていただけたんだと思う。でもあれから世の中が進んで、カッコいいサイフなんか当たり前になってしまった今、一番大事なのがパーソナリティなんじゃないかな。アイソラのいるニッチマーケットで認めてもらえるのは、アイソラの扱っているどんな型でも、どんな素材でも、カッコいいを超えてアイソラらしいパーソナリティを表現できているかということが大事なんじゃないかな。

2014.06.10
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