エピソードXI テレマークスキーのススメ

ぼくはまだ雪上6日目のテレマーカーのひよっこだけれど、なかなか濃い初心者期間を過ごした。テレマークスキーって勘違いしている人が多いので、ぼくがようやく理解したことを中心に、テレマークスキーをおすすめしてみようと思う。

ゲレンデでかかとが上がるスキーをはいて、滑っているスキーヤーは見たことがある人が多いと思う。あれがテレマークスキーなんだけれど、かかとが上がるという共通点でクロスカントリースキーや山スキーとゴッチャにしている人が多いと思う。XCスキーはテレマーク姿勢はとらないし、山スキーは登りはかかとが上がるけれど、下りはアルペンスキーと同じようにかかとをビンディングで止めてしまうので、やっぱりテレマーク姿勢はとらないのです。テレマーク姿勢って、アルペンとは逆に、ターン時に外足が先行する、ジャンプ競技の着地の時の姿勢でターンする例の姿勢のことね。

青木師の縦系の走らせる滑り。カービングで気持ちよさげに、雪面をカットしていきます。
テレマークスキーっていうのは、テレマーク技術を使って、かかとが上がるスキーでゲレンデやバックカントリーを滑るスキーのことです。

テレマーカーってノースフェイスやらパタゴニアやらのアウトドアウェアが好きだから、みんなバックカントリーで滑るものと思われがちだけれど、もともとは19世紀にノルウェーで発達したスキー技術です。当時は移動手段としてのスキーだったんで、歩きやすいようにかかとが上がるようになっていた。

そのスキーで斜面を降りてくる技術として、ノルウェーのテレマーク地方で使われていた技術がテレマーク技法で、その土地で生まれた近代スキーの父とも呼ばれたソンドレ・ノルハイムが発展させ、一時はレースの世界でも席捲しました。他方、今はオスロと呼ばれるクリスチャニア地方の技術がオーストリア等アルプス周辺で洗練されて、アルペンスキーとして主流になり、テレマーク技法は歴史の表舞台から姿を消してしまいました。

しかし1970年代にコロラドのバックカントリースキーヤーがこのテレマーク技術を再発掘して、道具も改良を重ね、ゲレンデスキーはもちろんのこと、バックカントリーの深雪、今ではカービングさえできるほど、技術的にも発展しました。以上、これ師の受け売りね。


青木師のパウダーラン。トップも浮いて、これがテレマークにはいちばんよく似合うシチュエーションでしょうね

kunoのズレズレの落っこちターン。でも少しは進歩しているんです。


スプレーも飛ばしているし、かかともいい位置まで上がってきているし、ぼくなりに満足な写真だな
ぼくはそんなスキーに憧れてはいたんだけれど、自分でやろうとは思わなかった。スキーとスノーボードをやっていれば、そんな時間なんてないですからね。でもある日、師に出会ってしまい、とうとうぼくもテレマーカーを目指すことになってしまいました。そして師のいうとおり東京の新宿にあるICI石井スポーツに行って、まず道具を買い込むことになりました。

板 K2スーパースティンクス 167cm
ビンディング コブラ R8
ブーツ スカルパT1 サーモフィット

アッそうそう、流れ止めも必要ね。

とりあえずはストックはアルペンの物を兼用します。

合計金額  ¥139,000

ここまでは最初に必要です。もちろんもう少し安いセットもあると思います。そして馴染みの志賀高原に行ってスクールを探したんです。聞くところによるとこのスポーツは妙高高原がメッカだそうで、妙高や北海道には数カ所、常設のスクールはあるらしいけれど、志賀高原にはスクールがないのです。しょうがないから覚悟して、一人で雪の上に立ちましたよ。

まずブーツをトウの金具に突っ込んで、ヒールのビンディングを上げ、流れ止めをブーツの甲の金具に付いているD環にひっかける。これだけで大汗かきました。ブレーキが付いていないから板は走っていってしまうし、お腹の脂肪が邪魔してかがむことが苦しいし。そしてようやくファーストランに入りました。

「ウワッ、怖い」。アルペンスキー経験者はどうしても前傾姿勢をとってしまうクセがあるので、すぐにかかとが浮いて、前に倒れそうになります。これが怖いんです。ジャンプ競技のV字飛行のかたちで、雪面に顔面制動するって、いかにも痛そうでしょ。しばらくはヘルメットは必需品です。

それでもアルペンスキーで散々苦労してきたので、ターンするということは体が覚えています。ターンに入る前に「外足が先行、内足が後ろ」と呪文を唱え、思いっきり内足を引けば、意外と早くテレマークターンに慣れてきます。でもどうしても外足加重になってしまい、両足に体重を分散させることができない。これが最初の壁だったな。

そんなこんなで悪戦苦闘しているうちに、ある日テレマークスキーをぼくに薦めてくれた青木師と再会して、今じゃプライベートレッスンを受けているというわけです。

テレマークスキーはとてもおもしろいと思います。もう少し上手くなって、悪雪や深雪、急斜面が楽しめるようになれば、もっと楽しくなると思う。でもいきなりテレマークスキーって、たぶんつらいだけのような気がする。アルペンが滑れたほうが上達は早いだろうな。それと教えてくれる師がいたほうがいい。これは当たり前のことだな。周囲に師が見あたらない人は、初心者の頃はスクールに入ったほうがいいでしょうね。アルペンの常識とは全く違うこともありますからね。

テレマークスキーってコロラドのバックカントリースキーヤーが再発掘しただけあって、自然回帰だとかもちろんバックカントリーだとか、キーワードがいかにも「これからくるぞ」って感じなんです。滑る姿も優雅だし、流れるような動作も優美だし。アルペンが2サイクルのバイクレーサーなら、これは単コロを転がしている感じだな。

「やってみようかな」なんて思っている人、まだ競技人口が少ない今がチャンスです。ブレークしてしまってから始めたって、カッコよくもなんともないですから。先んずれば、人を制す。これですよ。と我が師もおっしゃっております。テレマークはをはいて、ゲレンデでお会いしましょう。


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