アイソラ・ワークス

アズテック

 皮革という素材は人類がもっとも古くから使ってきた素材です。人類最初の着るものが木の葉っぱだったのか、動物の毛皮だったのかは知りませんけれどね。だから革への憧れが遺伝子のどこかに刷り込まれているのでしょうか、ぼくも含めて革好きの人ってたくさんいます。そして革好きの人ってやっぱりナチュラルなタンニンなめしにこだわってしまうのですよね。

 ぼくはむかしから工業製品のような整然とした美しさが好きなんです。だからエルメスのようなハンドステッチは凄いなと感心するけれど、クラフト細工とかネイティブ・アメリカン風の手作り感覚を前面に出した革製品はどちらかというと苦手です。でもここ数年、環境保護の問題などで世の中全体がナチュラル志向になっているせいなのかな。タンニンなめしの革を使ったハンドメイドの商品が多く出回るようになっています。アイソラはもともとタンニンなめしの革を使ってナチュラル志向できたけれど、もう一歩進めたアイソラらしいハンドメイドを感じさせるあったかいサイフを作ってみたいと思っていました。

ある革屋さんの展示会に行ったときです。革小物にピッタリのサイズの型押しの革があります。白ヌメのソフトな革に太陽をモチーフにしたアステカ文明のレリーフを型押ししてあり、薄くパラフィンでカバーしています。
「こんなに手の込んだ型押しってはじめて見たけれど、これいいね」
「これはタンナポートというイタリアの伝統的な手法で作られた革で、この革はミラノの会社の革です」
タンナポートという手法は、型を打った革に染料で手染めして、そのうえから薄くパラフィン加工するという、とても手の込んだ技術だそうです。さっそくとりあげることにしました。

最近イタリアは国をあげて革を輸出しようと思っているようで、むかしみたいにいいかげんな仕事振りはなくなったと思っていたら、この革屋さんは久しぶりに付き合うイタリア気質丸出しのペレッツェリアです。何度メールで確認しても返事は来ないと思っていたら、いきなり発送の準備ができたと言ってきます。サンプルを送れと指示しても、何も送ってきません。でもぼくはこの革の魅力に負けてしまっているから、もうひたすら我慢です。

いろいろ問題はあるけれど、今までだったら絶対にアイソラでは取り上げることがなかった分野の革です。そして馴染んでくるとなんともいえないユーモアのある革で、すっかりアイソラの顔になってしまいました。



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