アイソラ・ワークス

ブライドルレザー

もう15年以上前のことです。パラフィンでサイフを作りたいと言う話があって、初めてこの革に出会いました。クロ ハバナ ロンドンタンの3色を発注して革屋さんに受け取りに行くと、「この革はイギリスを代表する革で、馬具用に作られた伝統的な革なんです」と教えられました。そしていざ使ってみると表面のパラフィンはハゲ落ちるし傷はあるしで、この革使っても本当に大丈夫なのかなと思ったことを思い出します。その後J&Mデビッドソンのゴブランの付属に使われたりイルビソンテで使っているのを見かけるうちにいまや定番の革としてすっかり見なれた存在になってしまいました。ぼくはもちろんこの革を使いつづけていましたが、ぼくの付き合いのなかでは英国の革事情に詳しい人が見つからずイタリアや日本国内で作らせたりしていたので、なにか釈然としない思いを抱いてきました。そしていつかは英国の一流のパラフィンの革屋さんを探し出してアイソラの柱になるラインを作りたいと思い続けてきました。

 今年の春のことです。ネットサーフィンでブラブラと暇つぶしをしていたらいきなり凄いページにぶつかってしまったんです。今から400年前の1600年創業の英国中部にあるブライドルレザー専門の革屋さんです。これはビッグチャンスかなと思って、さっそく英国から革を引いてもらっている革屋さんに行って、この会社のことを英国の業者にチェックさせるよう依頼しました。「私どもは400年間ブライドルレザー(馬具用の革)やスティラップレザー(あぶみ用の革)専門に作ってきた会社です。バッツ(革の部位)でよければ取引きしましょう」といってきました。「アイソラはサイフのメーカーです。サンプルをお願いします」というと「うちの革はサイフには向かないから無理でしょう」と言ってきました。そのあともいろいろと言ってきましたが要約すると、「ブライドルレザーは馬具という道具を作るための革であってサイフなどの装飾用のもののために作った革ではない。だから傷や色ムラなどの欠点があるのでオシャレなものを作るのは無理でしょう」ということでした。
 アイソラはそのことを承知でサイフを作ります。「英国の一流の鞄メーカーだってこの革を使っているのだから日本のサイフだってオシャレなものばかりではなく、道具としてのサイフがあってもいいのでは」という思いで続けていきたいと思っています。
2000/12/12

1880年の工場のイラストです
 


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