お宝鑑定団
こんなカバンが一対で見つかったんです
先日ぼくの知り合いの家の押入れから、とんでもないものがでてきました。もうズーッと開けていない箱のなかから、先代が作らせたらしいワニ革のカバンが2個未使用の状態で見つかったんです。ワニ革はベアカットといってお腹側で裁つので、背中のボコボコ柄がやたらと目立つ革で、染色も昔流行った方法で、真ん中のボコボコ模様だけキャメルで、残りの部分はチョコという、「寅さん」がしていたベルトのような、昔懐かしいものです。さっそく「お宝鑑定団」をやって見ようと思いました。
 
金具にはY,S&CO.の刻印が打ってあります。でもなんにもわからなかった

金具屋さん、ワニ革屋さん、カバン屋さん、色々な人に聞いてみたけれど、難しいものです。何一つ面白いことや、はっきりしたことはわかりませんでした。 ただひとつ、YKKのお客様相談室の人からは面白い話が聞けました。2つ見つかったカバンのうちのひとつの内ポケットのファスナーのスライダーに、TALONという刻印が打ってあったのです。ファスナーって1891年にアメリカのジャドソンさんが発明しました。そして作った会社が「ユニーバーサル・ファスナー社」です。それを吸収して当時世界No,1にのし上がったのが「TALON社」だったということです。日本でも戦後しばらくのあいだまで「TALON社」の信頼は抜群で、当時の背広はズボンに「TALON社」のファスナーが使われているかで、一流と判断されていたそうです。そしてYKKは「TALON社」を追いつけ、追い越せが目標だったと教えてくれました。もう目標ははるかに達成してしまったようですけれどね。

いかにも昔風の引き手にTALONの刻印が打ってあります

 結局わかったことはこれだけで,1950年代以前に作られたカバンだろうということになりました。「そうか、もう50年以上前のかばんだったのか」なんて思いながら、もう一度じっくりと見てみると、さっきまで「寅さん柄」に思えていた染色も1950年代の熱気を感じさせるし、「ハギ」といって革の悪い部分を修正する手法も、今よりは全然上手だし、なかなか味を感じさせる顔付きに見えてきました。僕は今、1950年代、60年代にとっても興味があるけれど、やっぱりあの時代ってgoodですよ。ちなみに鑑定団的にいうと、「今作ったら、2つ合わせて100万円では買えないよ」ということでした。
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