お宝鑑定団2
2006/10/27


「バックカットと裁断といい、この型といい、当時のトップビジネスマンを意識していたんだろうか。でも、こんな高価なカバンを使う人はいないな。ぼくの推定、80万円ってところかな」
 以前お宝が見つかったぼくの知り合いの家から、またまたとんでもないお宝がでてきた。今度は由緒がちゃんとわかっている。ぼくの知り合いの父親という人は、戦前からバッグメーカーを経営していて、昭和五十年ごろだったかな、亡くなりました。この方が面倒をみていたバッグの職人さんの一人が仕事を引退することになり、最後の仕事として、世話になった親方のために、このバッグを作ったというのです。昭和三十年代の半ばのころの話らしい。今から40年以上前の話だ。

 素材はナイルクロコの一枚モノで、今風にバックカットされている。斑の大きさからいって、相当大きなワニ革だったようだ。 ちなみに最近ぼくが買ったナイルクロコは、大きな斑で縦12mm横10mmだけれど、このワニは縦45mm横50mmもある。ぼくが買ったワニでさえ全長1mくらいはあるから、このワニの巨大さが知れるというものだ。そしてぼくのワニ革は4万円弱もしたのだから、このワニはいったいいくらぐらいで買えたんだろう。
 金具にはHINOMOTOという刻印がある。今でも日乃本錠前という錠前では国内トップの会社があるので、その会社製は間違いないところだ。ファスナーの引き手にはTTSという刻印がある。これが何なのかは、今の時点ではよくわからない。

 その親方という人は、浅草の周辺に住んでいて、引退してからは、千葉の松戸に隠居所を建てて、安穏に暮らしていた。「旦那」と呼ぶにふさわしい人だった。あのころは優雅な時代だったんだな。


「調べればある程度のことはわかりそうだ。今の常識からすれば、金具はちょっとチャチだな」

「ナイルワニは全長5m体重200sを超すというから、このワニも5mくらいはありそうだ。」

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